口元、気になりませんか?
ご自身の口元を見てみてください
歯並びや噛みあわせが悪いことを、専門用語で「不正咬合」といいます。でこぼこやすき間だけではなく、噛みあわせの深さや前後関係のチェックも重要です。あてはまるものがあるかどうか、ご自分の口もとを鏡で確認してみましょう。
こんな場合は矯正治療のご相談をおすすめします。
- 上の表の「正常」以外であてはまるものがある
- でこぼこやすき間がきになる
- 奥歯の噛みあわせがずれている
- 正面から見ると、顔や噛みあわせが曲がっている
- 横顔をきれいにしたい(三日月型の横顔や口元の突出感など)
不正咬合の種類
叢生(そうせい)/でこぼこ、八重歯
歯ならびのでこぼこを「叢生」といい、上顎の犬歯が歯列からはみ出した状態を「八重歯」といいます。これは歯がならぶスペースが足りないために起こります。
大人の矯正 | 歯列矯正をおこない、歯がならぶスペースを確保します。根本的にスペースが足りない場合には抜歯をすることもあります。 |
子どもの矯正 | 可能な場合は、早期から前歯のみブラケット装置を用いて治療したりします。症状によっては、すべて永久歯になるのを待って歯列矯正をおこないます。 |
空隙歯列(くうげきしれつ)/すきっ歯、すき間のある歯ならび
叢生とは逆の、歯と歯の間にすき間がある状態です。「歯が小さい」「歯の本数が少ない」ことなどが原因で起こります。歯の大きさや本数が正常でも、歯を舌で押す癖などが原因になっている場合もあります。
大人の矯正 | 歯列矯正ですき間を閉じます。また症状によっては、ブリッジやインプラントなどですき間を補います。舌などの癖がある場合は、同時に癖を直すことも大切です。 |
子どもの矯正 | 永久歯がそろってきてもすき間がなくならないときは、何か原因がないか、きちんと検査することが大切です。 ※5歳ぐらいの子どもの乳歯は、すき間があるのが正常ですので、すき間を閉じる必要はありません。 |
上顎前突(じょうがくぜんとつ)/出っ歯
下顎に対して、上顎が前方に出ている噛みあわせです。横顔では「口元が出ている」感じがします。
大人の矯正 | 永久歯の抜歯を併用し、抜いた歯のスペース分、上の前歯を後ろに下げて治療します。著しく骨格的な要因が強い場合には、顎の骨の手術を併用した外科矯正をおこなう場合もあります。 |
子どもの矯正 | 小学生~中学生ぐらいの成長期には、バランスの良い骨格に育つように、顎の骨の成長に働きかける治療をおこないます。歯列矯正は、永久歯がはえそろった後、13~14歳以降に可能になるのが一般的です。 |
下顎前突(かがくぜんとつ)/受け口、反対咬合
上顎に対して、下顎が前方に出ている噛みあわせです。横顔が「三日月型」のように見えます。
大人の矯正 | 症状が軽度の場合や歯の生え方が問題の場合には、歯列矯正のみで治療します。骨格的な要因の強い、著しい下顎前突の場合は、顎の手術を併用した外科矯正が必要です。 |
子どもの矯正 | お子さんの受け口が気になる場合は、小学校低学年までに一度、矯正専門医にご相談されることをおすすめします。将来、骨格的な下顎前突に成長していかないように、早期から矯正をおこなうことが大切です。 |
なお、骨格的な下顎前突の最終的な歯列矯正は、顎の大きさが決まってから方針を決める必要があるため、成長終了を待って治療を開始します。一般的に、男子で19歳頃、女子で14歳頃から治療できます。
開咬(かいこう)
奥歯はきちんと噛めても、前歯では噛めない状態を開咬といいます。口呼吸になりやすく、虫歯や歯周病になりやすい傾向があります。
大人の矯正 | 比較的軽度な場合は歯列矯正で治療します。骨格的な要因が強く重度の場合は、手術を併用した外科矯正が必要になります。開咬は舌の癖とも関連が深いので、矯正治療と同時に不正咬合の要因となる癖の解消が重要です。 |
子どもの矯正 | 開咬の場合、舌の癖や指しゃぶり、口呼吸などの癖を必ず伴っていて、不正咬合の要因になっています。成長期にこれらの癖を解消できれば、成長発育と相まって、噛みあわせは徐々に改善されていきます。逆に子どもの開咬を放置すると骨格的な開咬に進行するリスクが高まります。早期の矯正治療が大切です。 |
過蓋咬合(かがいこうごう)
噛みあわせが深すぎる状態を過蓋咬合といいます。出っ歯などの不正咬合と複合していることが多く、また、顎の関節にも負担の大きい噛みあわせの場合もあります。
大人の矯正 | 歯列矯正で歯ならび・噛みあわせを整える際には、噛みあわせの「深さ」も同時に調整する必要があります。 |
子どもの矯正 | 子どものうちに噛みあわせの深さを浅くすることで、上下の顎の前後的なバランスも整いやすく、将来の歯列矯正の段階でもスムーズに良い結果が得られます。 |
交叉咬合(こうさこうごう)
奥歯の上下の噛みあわせが交差して、噛みあわせが曲がっている状態です。しっかり噛んだときと、軽く口を半開きにしたときの両方とも顎が曲がっている場合は、骨格的な問題も考えられます。
大人の矯正 | 歯の生え方が原因の場合は、歯列矯正のみで治療します。また顎の骨のゆがみが原因の場合には、手術を併用した外科矯正が必要になる場合があります。 |
子どもの矯正 | 成長期の交叉咬合を放置すると、曲がった顎に成長してしまうリスクが高まります。早期に噛みあわせを治し、顎の正常な発育を促し変形を予防する必要があります。 |
こんな歯ならびは特に注意
- 横顔が三日月型
- 顔が曲がっている、噛みあわせがずれている
- 受け口の程度が強い
- 前歯で噛めない
不正咬合には、「歯のはえかた」と「顎の骨の骨格」の2つの要因があります。骨格的な要因が著しいと、歯の矯正だけでは治療が難しいのです。なお、このようなタイプの不正咬合を「顎変形症」といいます。矯正治療では、不正咬合の症状と原因にあった、適切な方針で治療をおこなうことが大切です。
「私にはどんな治療が最適?」「もしかして顎変形症かも……?」などと感じたら、お気軽にご相談ください。できる限り患者さんのご希望に添いながら、医療として適切な矯正治療をいっしょに考えていきましょう。
顎変形症って?
顎変形症とは、上下の顎の形や大きさの異常によって起こる、顔の変形や不正咬合を総称したものです。くわしくは「顎変形症とは?」でご説明します。